Power BIを使った「予算と実績の見える化」シリーズ第2回。
今回は、「年度を通じた売上の進捗」を一目で把握できるPower BIならではの累積グラフを作成します。
「目標達成のタイミング」や「現状の立ち位置」を直感的に把握できるビジュアルを作ることで、上司からの評価もUP間違いなしです!
- クイックメジャー(タイムインテリジェンス)を使った年度累計の作成
- 会計年度(4月〜3月)に合わせた累計メジャーの調整
- 折れ線グラフによる予算と実績のビジュアル比較
仮想ケース
前回、単月の予実比較を報告したところ、課長からこんなフィードバックがありました。

「なるほど、問題なく単月比較のグラフ化はできたようだね。でも、これだけだとPower BIのメリットは感じにくいなぁ。年間を通じた累積額の推移とか、別のビジュアルも作れないかなぁ?」
なるほど、それなら「売上累積」と「予算累積」を折れ線グラフで比較するのが効果的と考えられます。
Excelでもできる作業ですが、Power BIなら拡張性が高く、のちのち他のデータ軸(部門別など)で分析する際にも応用が利きそうです。では、早速取り掛かってみましょう!
※本記事では、第1回で作成したデータソースを使用します(リンクはこちら)。
ステップ1: クイックメジャーで年度実績累計を作成
まずは「売上実績の累積金額(会計年度ベース)」を作成します。
クイックメジャーの手順
- 「ホーム」タブ→「計算」→「クイックメジャー」を選択
- 「計算を選択してください」から「タイムインテリジェンス」→「年度累計」を選択
- 「基準値」で「+データの追加」をクリックし、「売上実績(千円)」を選択
- 「日付」には「年月」を指定
- 「追加」をクリック

これで、「売上実績(千円)の合計YTD」というメジャーが作成されました。
分かりやすくするため、名前を「売上実績累計」に変更しておきましょう。
ステップ2: 年度実績累計を折れ線グラフで可視化
次に、この累積メジャーを折れ線グラフで可視化してみます。
- 「折れ線グラフ」を選択
- X軸に「月」、Y軸に「売上実績累計」を設定
- 「四半期」や「日」といった単位は不要なので削除

グラフを確認すると、2024年と2025年のデータが表示されていますが、2024年12月で累積がリセットされているようです。

ステップ3: 年度の定義を「4月〜3月」に変更
日本の会計年度に合わせて、累積の開始月を4月に変更しましょう。 クイックメジャーで作成された数式を編集します。
メジャーを編集
- 「データ」ビューから「売上実績累計」をクリックし、数式を表示
- TOTALYTDの第3引数として“3/31”を追加。
💡Power BIでは、”3/31″を指定することで、「4月スタート〜翌年3月エンド」の年度が作れます。日本の多くの企業がこの会計年度を採用しています。 - エンターキーで確定

これで、年度が「4月〜翌年3月」に設定され、意図した通りに売上累積が表示されるようになりました。
💡ちなみに、「ERROR(“タイム インテリジェンスのクイック メジャーは…)」は、ユーザーが特定のフィルターをかけたときに不正な挙動を防ぐためのエラー処理です。クイックメジャーを選ぶとデフォルトで追加されます。
ステップ4: 年度予算累計も追加して比較
同じ要領で「売上予算(千円)」に対しても年度累計を作成し、「売上予算累計」として折れ線グラフに追加してみましょう。

すると、9月に実績が予算を上回り、その後も堅調に推移している様子が可視化されました。
まとめ
今回、Power BIを使って会計年度ベースの予算累積と実績累積を折れ線グラフ化しました。年度を通じた売上の進捗を一目で把握できるようになり、「目標達成のタイミング」や「現状の立ち位置」も直感的に理解できるようになりました。

なるほど、これは分かりやすいね! どの事業が特に貢献していたのかも見てみたいな。次は事業別に分析してみよう!
ということで、次回は「どの事業が売り上げに貢献していたのか?」を深堀します! Power BIならではの「事業別分析」に挑戦してみましょう。お楽しみに!
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